【200字小説短編集】小さな息吹

くれは

お題 『甘い匂い』

きっかけは甘い匂い。森に漂うそのうっとりするような匂いの元には花に囲まれた美しい女性がいた。

惹かれ、この手に抱く、その柔らかさ。首筋に顔を埋め、甘い匂いをいっぱいに吸い込む。

ひとときの逢瀬のために、森に通う。彼女はいつもその場所で微笑んでいる。手を伸ばす、と、突き飛ばされた。

見上げると、兄がいた。兄が彼女に火を放つ。

「目を覚ませ!そいつは妖花だ!」

甘い匂いがいっそう濃くなる。火の中に飛び込んだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る