第9話 壊れる友情
冷夏さんの記憶が戻り、心強い仲間が増えた僕たちは、倉庫の前に立っていた。
「修吾...。ここからとてつもないオーラを感じる。気を付けろ!」
冷夏さんもさっき以上に冷静になっていた。
「あぁ、狛犬さんも気を付けてください!」
「わかっておる...。ワシもこの感覚は、久しぶりじゃ...」
「よし...行くぞ!!」
ガチャっ
見ると、そこには誰もいなかった。
いや、見えていなかった。
それに最初に気づいたのは冷夏さんだった。
「これは...、どこかに隠れてるな、
しかも、わからないようにオーラまで隠してる。」
狛犬さんもそれに反応して、
「そうじゃな、それにもうここには、あの霊はもういなさそうじゃな。
じゃが、身を隠してもワシにはバレバレじゃ!!
____
ピカーーン
白い光が倉庫全体に反射した。
「ま、まぶしい!!!!」
それは、人間の目が壊れるくらいに光が強かった。
「へぇー私の居場所を見抜くなんてなかなかやるじゃない!」
倉庫の奥から、一人の人物がこちらにあるいてきた。
「鈴野瀬...さん?」
人物の顔が見えた途端、僕は言葉を失った。
この前の3人で遊んでいた時の印象と、
今の鈴野瀬さんの印象が全然違っていたからだ。
「あーあ、せっかくあのお方がそいつの記憶を消したのに、
余計な邪魔が入ったせいで、私たちの計画が台無しよ。
ま、でもいいわ...。全員つぶせばいいのだからぁ!」
僕は鈴野瀬さんの豹変ぶりに何も言えなかったが、冷夏さんが言った。
「お前は...。零を連れて行った奴の一人だな!!零をどこにやった!!」
「アハッ!霊のくせに随分と生意気なのね!
いいわ!じゃあまずは、こいつからやってやろうかしら!!_____
いでよ!竜王!!」
鈴野瀬さんは手を大きく振る。
グオオオオオオオオオオ
鈴野瀬さんの目の前に大きな竜が現れた。
とても大きな竜で、今にも飲み込まれそうな感じだ。
「さぁ!こいつから叩きのめしなさい!!
___
竜は冷夏さんめがけて、襲い掛かってきた。
「ユルサヌ...!!」
冷夏さんは黒い霧をまとって、竜の攻撃から身を防いだ。
「ツブス...!!ツブス...!!」
黒い霧の中から、数百本の矢が、竜めがけて飛び出した。
「こ、これなら!!」
「
なんと、あれほどの矢が当たっても、無傷ですんでいた。
「アハハ!!あんた、なかなかやるじゃない!!
でも、こんな程度では竜王は倒せないわよ!___
グオオオオオオオオオオ
竜から凍えるような風が冷夏さんを襲う。
「グっ...。サ...ブイ...!!!」
まずい...。冷夏さんは寒さに弱い。それに、先程の攻撃で体力がもう残り少ない。
「アハハハ!!!このまま凍えて散れ!!!」
グオオオオオオオオオオ
冷夏さんめがけて、凍える風が飛んでくる。
「やめろぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
僕は冷夏さんをかばった。
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
体中が痛い...。それだけが分かっていた。
「修吾ッ!?修吾ぉぉぉぉ!!!!!!」
「おい修吾!しっかりせえ!」
冷夏さんと狛犬さんが寄ってくる。
「おい修吾!こんなところでへこたれぬな!まだ零はとらわれておるのだぞ!」
僕は力を出そうにも出せない状態だった。
「アハハ!霊をかばうなんて、あなた相当馬鹿なのね!
霊なんて所詮一回死んでいるただの迷惑ものなんだから!」
鈴野瀬さんはそう嘲笑った。
「よくも...クソっ!」
冷夏さんも残り体力が少なくもう限界のようだ。
クソっ!もうここで終わってしまうのか...。
しかし、それよりも勇ましい赤いオーラが漂っているのを感じた。
「おい...その発言、今すぐ撤回しろ...」
狛犬さんだ。狛犬さんは怒りをあらわにしていた。
「はぁ?なによあんた。まぁ、あんたも大したこともないでしょ?逃げるなら今のう...」
「
「グっ!!!!!!!!!」
大きな光から大きな手が竜王と鈴野瀬さんを襲う。
「こんなに腹がたったのは久しぶりじゃのう...。
貴様は__いや、
貴様らは私を怒らせた。
その報い晴らさせてもらう!!」
狛犬さんは黄色い光に包まれると、大きなオオカミに変身した。
「ふん!そんなんになったって変わらないわ!
行け!竜王!
グオオオオオオオオオオ
竜は体をドリルのように回しながら、突進してきた。
アオーーーーーーーン
オオカミ(狛犬さん)が吠えると、目の前に大きな岩が現れた。
竜は岩にぶつかりよろめく。
「チッ!何をやっている竜王!早く立て!」
僕はいてもたってもいられなかった。
「狛犬さん!僕も加勢し...ぐっ!」
「修吾っ!まだ体は完治しておらん!今は安静にしてるんじゃ...」
狛犬さんは俺のほうを向き、そう答える。
その表情は神様のような笑顔だった。
「これで終わりじゃ...!!
グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
竜は神の手によってつぶされて消えた。
「チッ!こんの役立たずがぁー!!」
鈴野瀬さんは煙玉を使って逃げようとした。
「させるかー!!!!!
「グっ!!」
それを冷夏さんが煙で捕まえた。
鈴野瀬さんを捕まえた後、僕たちは事情を聴くために外に出た。
「貴様...こんなことをして、何が目的だ?」
「ふん!あんたたちに言う義理はないわ。それにあの方の目的は私にもわからない...だけど、あのお方に従うのが私の使命」
やっぱり学人といい、鈴野瀬さんといい、あのお方ってどうゆう存在なんだ?
「だけど、私はそれを達成できなかった。だから私の使命はここで終わり。
私はここで朽ちるわ。短い人生だったけど、後悔はないわ...」
鈴野瀬さんはどこかに消えようとした。
「ちょっとまて!まだ話しは____」
「
急に黒い光が鈴野瀬さんを直撃した。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
もがき苦しみ、鈴野瀬さんは黒い光に飲み込まれた。
「ふん...こいつもたいしたことがなかったか...」
ひとりの男がこちらに歩いてきた。
学人とは違い、とても身長が高い中年のとこだった。
僕は男を見た瞬間、愕然とした。
「父...さん....?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます