花の気持ち、リボンの儀式

紙の妖精さん

エピローグ エピソード 不思議な花畑

ある晴れた日、ユカリは母親に頼まれて、家の近くの花畑に向かいました。空は澄み渡り、青い空と白い雲がまるで絵画のように広がっていました。ユカリの心は、初夏の温かい日差しに包まれて、何だかとても嬉しそうでした。


花畑に到着すると、ユカリはその美しい光景に息を呑みました。広い花畑には、色とりどりの花々が一面に咲き乱れていました。赤いチューリップ、黄色いマリーゴールド、紫のラベンダー、そして青いデイジーなど、まるで虹が地面に降りてきたような光景です。花たちは風に揺れ、まるで生きているかのように軽やかに舞っていました。


ユカリはふわふわと歩きながら、花々の香りを楽しんでいました。時折、花に触れてみると、その柔らかさと暖かさに心が和みました。彼女は特に大きなチューリップの前に立ち止まり、その巨大な花びらを見上げました。そのチューリップは、まるで太陽のように輝いていて、鮮やい赤色が周囲の緑の中でひときわ目立っていました。


「わぁ、このチューリップ、本当に大きい!」ユカリは感心しながら、花に手を伸ばしました。花びらはしっとりとしていて、少し冷たい感触がありました。その瞬間、ユカリの指先が花の中に触れると、花びらが微かに震え始めました。


「もしかして、風のせいかな?」ユカリは不思議そうに首を傾げました。しかし、風は穏やかで、花が震える原因がわからず、少し不安になりました。花の中心に目を向けると、何かが輝いているような気がしました。ユカリは好奇心に駆られて、さらに近づいて見てみることにしました。


花びらがゆっくりと開き始め、花の中心から微かな光が漏れてきました。その光は青白く、幻想的な輝きを放っていました。ユカリは目を見開き、その光の源にじっと見つめました。まるで、花の中に小さな星が隠れているような感じがしました。


「これ、何だろう?」ユカリは声に出さずに自分に問いかけました。光がますます鮮やかになり、そのまばゆい光の中に小さな影が現れました。影がはっきりと形を持ち始めると、それは小さな妖精のような姿に見えました。妖精は、まるで花から出てきたかのように、その美しい翼をゆっくりと広げながら浮かんでいました。


ユカリはその光景に目を奪われ、心臓がドキドキと高鳴りました。彼女の目の前に現れたのは、まるで夢の中の出来事のようでした。妖精の輝く羽が、花の中での彼女の存在をさらに神秘的なものにしていました。


その瞬間、ユカリはこの不思議な花畑で、何か素晴らしいことが始まる予感を感じていました。この花畑が、彼女にとってどれほど特別な場所になるのか、まだ知る由もなく、ただただその神秘的な美しさに心を奪われていました。


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