草原のリース
ふわふわくまは、いつも妄想をしている
彼女の朝
「朝か…」
ポストに物が入る音で目が覚める。
好き勝手に曲がっている茶金髪を揺らし、眠そうに目を擦る少女、リース・タネストリー。
ふわぁとあくびをし、洗面台へと向かう。顔を洗い終わったあと、彼女は自室に戻り、洋服ダンスを開けた。選んだ服は、マリーゴールド柄のワンピースと、ワンポイントの白いタイツ。
それから彼女は庭に足を運ばせた。
品種のわからない花の飾りが付いている鍵を取り出し、鍵穴に通す。ガチャリと心地よい音が聞こえたら、冷たい扉を両手で押した。
色付きガラスで出来た扉の先には、大きなハーブの庭が広がっていた。
赤茶色のレンガの道を辿りながら、必要な草花に水をあげる。
「今日の音楽もかけようか。」
ジョウロを床に置き、ハーブホールの音楽プレイヤーに向かう。再生ボタンを押すと、天井の四隅からオーケストラ曲が流れ出す。
リースが自身で研究し、ハーブに最も相性の合う音楽を作ったのだ。
「よし」
一通りハーブを見て、リースはリビングに戻った。朝食をプレーンドーナツで済ませ、一階に降りる。
リースはハーブ専門店兼、家で生活をしている。1階はハーブ専門店とハーブホール、2階は家になっている。地下にあるハーブメトロには、ハーブホールで育てられないハーブを育てている。
商品の在庫を確認し、お店のカーテンを引いた。
「それにしても、今日は本当にいい天気だねー」
ググッと背伸びをして、陽の光に目を細める。
「よし」
エプロンを着て、いつもの制服を身にまとう。ブーツのひもを改めて縛りなおし、長い髪をポニーテールに結う。
外に足を踏み出し、リースは扉の看板を裏返した。
『open』
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