第2話 「金への代償」お題・錬金術

 フラスコの中には、美しい、エメラルドグリーンの液体が入っている。


 ……やった。成功だ!


 この液体──要するに薬液だが──を精製して、凝固ぎょうこさせればきんになるはずだ。

 私は数日を掛け、その作業を行った。

 しかし、思った以上に骨の折れる作業だ。


 精製には多くの薬品が必要で、それらの購入は多額の金が必要だった。

 さらに凝固させるには、それ以上の薬品と、金が要る。

 私は作業の手を止め、この薬液を金にするために必要な金額を試算してみた。


 ……私はおもむろにフラスコを手に取って、中の薬液を全て、流しに捨てた。


 この薬液を金に変えたとして、出来るのはたった一粒の金。

 そのために、約一万倍の金額が必要だなんて。

 馬鹿馬鹿しくて、やっていられるか。

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