第3話

03.



もちろん浮気の件も許せない。


でも今は先にお姉ちゃんとお母さんの死の真相を突き止めることが最優先ね。




「ごめんね……真也さんのこと悪く言って。」


「っ……蘭達は何も気にしなくていいの。」


「実は、ずっと前から思ってたんだけど……

僕が言わなかったせいで……2人とも死んじゃった……」


「それは違う!……蘭のせいじゃない。

それどころか蘭達はこうやって私に教えてくれたじゃない。

ごめんね、私が早く気付いていれば。」


「……私達も死んじゃうの…?」


「そんなこと絶対にさせない……っ!

大丈夫、2人とも私が守るからね。」




2人ともそんなに前から思うことがあったんだ。


なんでもっと早く気付いてあげられなかったんだろう。


もう2人には指1本触れさせないんだから。





ーーー次の日の朝。


この時間には真也は仕事に行ってて、今家は誰もいないはず。


2人を学校に送り出した後、私は家へ向かった。


思った通り家には誰もいなかった。


まず調べるところは真也の部屋よね。


真也の部屋は、薬品とかたくさんあって危ないから絶対に入るなって言われてたから今まで入ったことないんだよね。


いつもなら鍵がかかってるのに今日はあいてる……


私がいなかったら鍵かける必要ないもんね。


中に入るとーーー




「なに……これ…っ……」




部屋の壁にはたくさんの写真が貼ってあった。


…………昨日の女の人だ。


2人で色んなところに行ってる写真。


妊娠している時の写真。


赤ちゃんが生まれた時の写真。


赤ちゃんと一緒に3人で幸せいっぱいに写っている写真。


見れば見るほど涙が止まらなかった。


その貼ってあるたくさんの写真の中に私が写ってる写真は1枚もなかった。


あなたはいつから……私に内緒で家庭を作っていたの……?


絶っっっ対に許さない!!!


勢いあまって机を叩いたとき、机の上から薬の瓶が落ちた。




「なにこの使いかけの薬……あ、いけない。

私は2人の死の真相を探るためにここへ来たんでしょ?

こんなことしてる場合じゃない。」




瓶が割れなくて良かったわ。


この薬品の名前も一応覚えておかないとね。


他に何か……あれ、これって……


前に私がお母さんに渡してほしいって真也に持たせた健康御守り、だよね。


真也が移る病気だといけないから俺が渡すって。


買った袋のまま開けた形跡もなく、ぐちゃぐちゃになって部屋の隅に放置されてたのね。


その横にある薬は……私がつわりのときに飲んでた薬だわ。


薬の説明が書いてある。





ー禁忌ー


免疫力が下がっている方、妊娠中・授乳中の方への投与。





嘘……でしょ………?


真也はこのこのとを知らなかったってことは……いいえ、あるわけないわ。


こんな風に赤で分かりやすく書いてあるんだから薬出すときに見えるだろうし、なにより真也は医者。


知らないはずがない。


禁忌薬であることを知りながら私に飲ませていた……?


…………つまり、私の流産も全部真也の思惑どおりだったってこと。


ほんっっっとうにクズ男ね。

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