第1話
01.
しばらくして順調だったはずのお腹の子の成長が止まり、咲優は流産してしまった。
悲しみに暮れていたとき、実家から連絡が。
ーーーーーお母さんの状態が悪化した、と。
今では地元でも評判になるほどの腕を持つ真也が診てくれていたので、咲優は安心していた。
それなのに…………なぜ…………
咲優は実家へ急いで向かった。
「お母さん……っ!」
「…………咲優……なのかい…………?」
「っ……そうだよ、私、咲優だよ!お母さん…っ!」
「泣かなくて…………いいのよ。
………私は…………大丈夫だから……」
「っ!…………お母さんっ!!!」
「咲優、大丈夫。
今は寝かせてあげて?
咲優も今は辛い時でしょ、ゆっくりしておいで。
お母さんは私がついてるから。」
流産のこともあって疲れていたのか、お姉ちゃんに言われソファに横になっていたらいつの間にか眠ってしまっていた。
「咲優姉ちゃんっ!!!
起きて!優花姉ちゃんが……っ!」
「うわぁぁぁぁん!!!」
「ん……蘭?……美桜……2人ともどうしたの?」
蘭に起こされると今にも泣きそうな蘭と隣で大泣きしている美桜の姿が。
あれ、蘭今…優花姉ちゃんって言った……?
起きたばかりで頭が回ってなかったが、蘭に言われるがまま廊下に出てみると、そこには廊下に倒れている優花お姉ちゃんの姿が……
「お姉ちゃんっ!?どうしたの!?
お姉ちゃ…………そんな……ねぇ、嘘だよね…?
……お願い…………嘘って言ってよ……っ!!!」
「どうしたそんな大声だして……っ!?
咲優、少し横にいて。」
私の声を聞いて駆けつけてくれたであろう真也がお姉ちゃんを診てくれたが、静かに首を振っていた。
「なんで……っ!
さっきまで何ともなくあんなに元気だったのに……」
本当にお姉ちゃんは病気もなく、さっきだって元気でお母さんのことを看病してくれていた。
急にこんな……信じられない……っ!
その後ーーー
真也が詳しくお姉ちゃんを診てくれたけど、病気だったわけでもなく、外傷があるわけでもなく、原因不明の突然死と診断された。
お母さんの状態も悪化する一方で、お姉ちゃんの後を追うように1週間後に亡くなってしまった。
「咲優、ごめん…………
俺がついていながら、お母さんを救うことが出来なかった。」
そう涙を流す真也はとても悲しそうだった。
「真也のせいじゃないよ。
………今までお母さんを診てくれてありがとう。」
「お母さん……僕…強くなるよ。」
「うぅぅ……お母さぁん………」
弟の蘭と妹の美桜もお母さんの姿を見て泣いていた。
そのとき私は2人を静かに抱きしめることしか出来なかった。
長い間原因も分からない病気に蝕まれて辛かったよね、お母さん。
本当にお疲れ様でした。
2人とも、そばで弱ってく辛そうなお母さんみてるの辛かったよね、最期までそばに居てくれてありがとう。
真也、今までずっとお母さんを診察して薬で治療してくれてありがとう。
きっとお母さんも喜んでくれてるよ。
そしてお姉ちゃん……今までずっと看病してくれてたんだよね、本当にありがとう。
ゆっくり休んでね。
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