戦場の星屑

ネコを愛する中学生(略してネコ愛)

第1話 レギオン


 宇宙の彼方、そこには一機のロボットの姿があった。


全長二十メートルはあるだろう。

青と黄色のカラーリングが特徴的な人型巨大ロボット「ホープ」は、すさまじいスピードで宇宙を駆け回る。


 青い外装が機体全体を引き締め、鋭角なラインでデザインされた肩アーマには黄色のアクセントが施されており、その姿は機体の凄まじさを物語っているかのようだった。


 背中には二基のロケットエンジンが搭載され、轟音と共に強烈な光と熱が放たれる。


「チッ、しつこいやつらだ」


 地球軍レギオンのエースパイロット アイズ・レベクトは機体を大きく旋回させると、右手のビームライフルで次々と敵の量産機を破壊していく。


 若くしてエースパイロットになった彼は、父から譲り受けた「ホープ」を操りレギオンの最前線で戦っていた。


 何世代にもわたって続いてきた地球軍と宇宙軍との戦争。アイズ・レベクトの目的はその戦争を終わらせることだ。


 技術の発展により宇宙で暮らし始めた人々は、宇宙で見つけた太陽の光をエネルギーに変える結晶、量子ドットを使い科学を発展させていった。今ではロボットを作るのに欠かせない量子ドット。宇宙軍と地球軍との始まりの戦争は資源を巡ってだった。



 戦闘の疲労が重くのしかかる中、地球軍の母艦へと帰還した彼はリーダーラス・ベルスとの対面を迎える。


「戻ったか。無事で何よりだ」


アイズは無言のまま鋭い目つきでリーダーを見つめていた。


 リーダーはしばらく黙って彼を見つめた後、深くため息を尽いた。


「君が父親から譲り受けた機体で戦場に立つ理由、それは何だ?」


「……俺はただ、この戦闘を終わらせたい。それが俺に与えられた使命だと思っている」


 リーダーは真剣な目でじっとアイズを見つめる。


「戦争を終わらせたい。その志は正しい。だが、君はまだ未熟だ。今日の戦闘で感じたはずだ。この戦争がいかに辛いものかを。一瞬の迷いが命取りだ」


アイズはリーダーの重みのある言葉に拳を強く握りしめた。

「ホープ」の操縦席で感じた激しい戦闘、いつまでたっても戦いには慣れなかった。


 リーダーはそっとアイズの肩に手を置いた。その手は冷静だが、温かさを感じさせるものだった。


「迷いは誰にでもある。この戦争を終わらせるのだろ? 自分の進むべき道を進め。私は信じているぞ、アイズ」


 リーダーの言葉はアイズの胸に響いた。彼は静かに目を閉じた。再び目を開けると、その目には前まで彼には無かった決意の火がともっていた。


「ありがとうラスさん。俺、迷ってた。本当に自分にできるのかって。でも、決めた。俺、やってみるよ」


満足そうに笑うと、リーダーは肩から手を放した。


「信じてるぞ」


~あとがき~

悩みに悩みまくってかき上げた一話です。

更新は遅いです。

面白かったら応援、フォロ―お願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る