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第48話

身を置く場所が決まったことで、緊張の糸がぷつんと切れてしまったのか。



私は布団から起き上がれなくなっていた。



怪我は治っているし、熱があるわけでもない。ただ、頭がひどく重たくて、気持ちが不安定に浮き沈みし、思考はぼんやりとしていていつもどこか息苦しい。




特に夜がひどかった。




ふと、昔の事を思い出しては涙が溢れて止まらなくなった。いっその事、頭を大怪我するような大事故に遭って、全部を忘れたい。自分自身のこともなかったことにしたい。そんな、普通の状態なら思いもしないような事をたくさん考えていると、うまく眠れなくなってしまう。

 



私は、知らず知らずのうちにまいっていたらしい。



 



……毎夜、冬の匂いを纏った新が布団の中に潜り込んでくる。




ぐすぐすと泣き続ける私の頭を撫でながら、ランプの光源を手元に絞って読書をする。だらんと下がったままの尻尾にもやさしく触れてくる。



新が読んでいる本のタイトルは英語で書かれていて、何の本なのかはわからない。ただ、新っぽいな〜という浅い感想が浮かんでは消えた。すると、自然と涙も消える。よくわからない不思議な現象だった。

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