第23話

うどんを食べたあと、再び爆睡をかました私。明らかに寝過ぎだと思う。これも怪我のせいなのかもしれない。

 



目覚めると、私は彼に膝枕で寝かされていて、驚きで体がぴょんっと飛び上がった。この一連の流れ、既視感しかない。



すぐさま布団の中に避難すると、新が布団を捲ってこちらを覗き込む。彼は少し残念そうな顔をしていた。




 

「……懐いてくれたと思ったんだけどな」

 

 



ザマアミロ!簡単に懐柔されてたまるもんか!



新にやっと一矢報いることができて、私の尻尾がうれしそうにくねくねしていて、そこでようやく気付いた。

 


姉の家を逃げ出した時からずっと、尻尾と三角耳が出しっぱになっている。引っ込めようとしても、どうしてかうまくいかない。尻尾を引っ張ったり三角耳叩いたりしてみても、何の効果も得られなかった。




 

「こらこら。そんな乱暴に扱っちゃダメだよ」



 


新にやさしく阻止されてしまった。いつもの穏やかな笑顔だけど、何となく逆らったらダメな気がした。渋々だけど手は離しておく。

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