第2話

私は分厚い布団の上で横になっていた。い草の匂いがするから和室、だと思う。古そうなガラス戸の奥には薄い色の空が広がっていて、淡くて青い光で部屋が満たされている。




――あれ?ここ、どこ?



 

全く見覚えのない場所だった。それに気付いた途端、ぼやけていた意識が一気に覚醒する。


 



「かわいそうに。熱があるね」




 

美しい指先が額に触れてきた。反射的にぎゅっと目を瞑ったら、「ごめん、冷たかったかな」と再びやさしい声で話しかけられる。



一瞬、夢かもしれないとも思ったけれど、どうやら違うみたい。てことは、私の隣にいる人もリアルに実在する人間ということになる。




一体誰なんだろう。




なんとなく、知るのが怖いと感じる。でも、自分の状況は早めに把握しておきたい。


 

私は意を決して顔を上げた。

…そして、呆気に取られてしまった。





彼は深い青色の瞳を持つ男性だった。白人とアジア人の血をミックスしたような顔立ちは、誰が見ても完璧な造形で惚れ惚れしてしまう。



白いセーターからチラリと覗く首筋から壮絶な色気が放たれていて、私は無意識に目を逸らしていた。



男の頭に視線を向けたけど、美しい黒髪が朝日で煌めいていて、こちらも全く目にやさしくない。

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