第23話怖いものアプリ

「な、すごく怖いホラーって知らない? 真っ赤な血がドバっと出るのでもいいからさ」

「なに、怖いホラー映画?」

「お前、そう言うの詳しいんだろ。最近面白い映画って見てなくてさ、なんかお勧めってない?」

「お勧め、ね。バーチャルリアリティってやつかな、見るものすべてがホラーぽく見えるようになるアプリがあるんだけど」

「なんだよ、それ、面白そうじゃん」

「これなんだけど」

「ん? なんかスマフォの画面が色んな色が点滅してるだけじゃねぇか」

「それをじっと見てるとホラーな世界の幻覚を見るんだって」

「催眠術か、ま、いいぜ、面白そうだ。どれくらい、この画面を見てればいいんだ?」

「個人差があるから、適当に画面から目を離して、辺りの景色を確認してみて、ホラーな世界が見えたら、もう十分。見えなければ、画面を見続ければいいんじゃない」

「なんか、アバウトだな」

「ほら、黙ってしっかりと見て、怖いホラーが観たいんでしょ」

「お、おお・・・」

「お、おい、もう、いいかな・・・、お、お前真っ赤な血だらけでなんで手に斧持ってるんだよ」

「ホラーな世界が見たいんでしょ、私が殺人鬼役だから、必死で逃げてね」

「お、おい、い、いつの間に、周り血だらけで、みんな殺したのか」

「ホラー映画に詳しいってことは、ホラー映画の殺人鬼に憧れてるってことなんだけど」

「ま、マジかよ・・・」

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