第15話公園のブランコ
そのおっさんは公園のブランコを独り占めするように揺らしていた。ブランコには誰も乗っていないのに、ただ前後に揺らしているのだ。公園には、他に子供がいて大人が遊具を独占していい雰囲気ではない。
娘が俺の腕を引っ張り、ブランコ乗りたいと言った。
うむ、ここはパパとして、そのおっさんに注意してブランコを譲ってもらおうと近づいた。
「あの、すみません、うちの娘が乗りたがっているのでブランコ譲ってもらえませんか」
なるべく丁寧な口調で言ったのだが、そのおっさんがキッとにらんだ。
「うちの子が遊んでいるんだ。ブランコに乗りたければ、他所に行ってくれ」
誰も乗っていないのに、変なこと言うおっさんだなと思ったが、そばにいた顔なじみの子連れのママさんが俺にささやいた。
「私たちも言ったんですけど、子供が遊んでいるの一点張りでどかなくて・・・」
なるほど、観察してみると、他の子連れのママさんたちもただブランコを揺らしているおっさんを迷惑そうに見ていた。
「パパ、もういい。それより、あの子、すごいけがしてるけど、大丈夫かな」
と、娘が誰も乗っていないはずのブランコを指差した。
娘には、何か見えてはいけないものが見えたらしく、俺は娘の手を引いて足早に公園を去ることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます