第13話私は狂っていない

「私は狂っていない、あの男は前世で私を殺したから、復讐しただけだ。あの男が悪い」

と容疑者の女は自供したが、当然、誰も信じなかった。だが、フリーランスの記者だった被害者の妹さんが加害者の彼女に興味を持ち、実刑を受けて拘留された彼女と手紙のやり取りをして、前世で殺されたというのなら、殺されたあなたの墓はと手紙で尋ね、彼女は自分は人里離れた山の中に遺体を捨てられ、行方不明のままで、遺体もそのままと聞き出し、妹さんは、遺体を探しに山奥に入り、白骨化した遺体を見つけたのだが、警察には届けず、女にも遺体は見つからなかったと嘘をついた。

なぜなら、女の言う通り、遺体が見つかったとなれば、殺された兄の自業自得と世間に思われてしまう可能性もある、そうなると、身内を殺されて、その犯人と手紙のやり取りをしたことをノンフィクションとして書籍にして一儲けしようとしていた妹さんの計画がおしゃかになる。犯人の前世が原因と言うのをネタに書籍にすることも考えたが、それはオカルト的すぎて売れないだろうと思った。

実の兄を殺されても、加害者と向き合った妹の著作という方が、世間受けして売れるのではと計算したのだ。

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