恋には試練が多し

「ねぇ、今、体育館で1組と4組が試合してるんだけど、4組が勝ってるんだって！」

「えっ！？1組って確かバレー部いたよね？」

「そう、でも、勝ってるの！」

「なんで！？」

教室に戻って来た1人の女子が肩を上下に揺らしながら興奮した勢いのまま話す。

「芹沢くん達がめちゃくちゃ上手いらしいの！」

ピクリとそのワードに反応してしまう。

そんな私に喋っていた三奈もその女子の方に視線を向ける。

「見に行くー！」

「うん、行こ行こ」

「芹沢くんって仲宗根くんと仲良い男子だよね、確か」

「あのイケメン集団、スポーツも出来るとかやば過ぎだよね」

楽しそうにお喋りしていたクラスメイトの女子が次々に席を立って教室を出て行く。

シンとした教室内。

残っているのは私と三奈の2人だけだった。

皆、自分たちの試合の時間じゃないのに他クラスの試合を見に行っているらしい。

元気盛りだくさんだなぁ、なんてお婆ちゃんになったみたいにそんなことを思う。

私と三奈は球技大会の種目でバレーボールに出てたけど、初戦で負けてしまった。

だからクラスメイトの試合が始まるまではとっても暇だ。

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