恋心は加速する

第41話

「ほら!早く引けって!」


「…うーん、どっちだろ」




吊り目の男子、ハッチーこと八峯泰輝が持っているのは2枚のカード。


負けられない1対1の戦い。




「だから、ジョーカーは1番左のやつだって言ってんだろ!ハナコ!!」


「私はハナコじゃないから!カコだって言ってるでしょ!ジョーカーじゃないのは絶対こっち!」




自信満々に引いたカード。


そこに描かれていたのはピエロのイラストで2分の1の確率を引いてしまったことに気づく。


うわぁ、これで4連敗だ。


大喜びするハッチーにガクリと机に頭を伏せると、誰かの影が映った。


顔を横にすると、待ち侘びていたその姿があってガバッと体を起こす。




「なんで、ここに花房がいるわけ?」


「芹沢くんに会いたかったから!」


「…っ、」




ど直球ストレートを投げれば案の定相手はたじろぐ。


座っている私の頭上でその相手、芹沢くんはイヤホンを鞄に入れるとジトリとした目を向けてきた。

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