鳴り止まぬ、恋音
第25話
空がオレンジ色に染まりかけている放課後。
立っているだけで額から汗が流れ落ちるほどの夏の暑さは恐ろしい。
グラウンドや体育館から聞こえてくる運動部の掛け声。校舎の教室や廊下では吹奏楽部が響かせているお洒落な音色。
校内にはまだ生徒が沢山残っている。
「あっ!!」
中庭にいる女子達が遠巻きに見つめている集団の中に記憶に残るあの姿があり、嬉しさについ声が溢れた。
風で揺れる明るい髪に、スタイルの良いシルエット。
間違いなくあの人だ。
そわそわする気持ちを抑えながら後ろ姿を追いかけた。
向かい風にスカートがひらりと飜る。
段ボール事故(と私は呼んでいる)から数日経った今日。
あれからあの時のことが頭から離れない。
胸のドキドキは今もずっと続いている。
「あの、」
弾んだ息で声を出すと、思ったよりも小さくなった。
そのせいか気づいてもらえない。
「ん、誰?」
腕を引っ張って気づいてもらおうかと考えていれば、声をかけた相手ではなくその右隣にいた金髪の人が私の声に反応してくれた。
ジェスチャーで「あなたじゃなくてこの人に話しかけたいんです」と伝えると、
「おーい、呼ばれてんぞ!」
ひらひらと片手をその人の前で振って知らせてくれる。
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