大学生のころに住んでいたマンションの話
佐藤宇佳子
まえがき
僕が通っていた大学は、
そのB市の町はずれにある五階建てマンションの四階に僕は住んでいました。白い外壁が印象的な美しいマンションでした。一階と二階が建設会社の事務所になっていて、三階から五階までが賃貸になっていました。部屋数は全部で十二部屋くらいかな、比較的小規模な賃貸住宅でした。とはいえマンションですから、鉄筋コンクリートの、壁も床もそこそこしっかりした造りです。防音もきちんとしていましたよ。
ええ、北海道ですから、窓は二重窓です。ガスファンヒーターもついていました。残念なことに窓は東向きだったのですが、午前中いっぱいは暖かい日差しが差し込む1DKでした。あ、西向きの部屋って本州じゃあ嫌われるようですが、北海道では人気なんですよ。冬は日が入らないと寒いですから。
階段を四階まで上がって共用の内廊下を右に折れたすぐが僕の住む402号室でした。玄関扉を開けると、半畳たらずの玄関ホールになっていて、右手に靴棚、左手にトイレの扉、正面に部屋に入るための扉がありました。広さですか? 30㎡足らずでしたね。
え? 賃貸で玄関ホールがあるのって、珍しいんですか? へえ、そうですか。ワンルームマンションや安っぽいアパートでも、二重扉構造の玄関ホール付きが多かったですけどね。これって、北国ならではだったんですか。
住み心地ですか? 悪くなかったですよ。ただ、不思議な出来事がいくつかおきました。はは、ぜんぜん怖い話なんかじゃないんです。でも、ふつうなら経験しないようなできごとかな。
ご興味ありますか? じゃあ、思い出してみましょうか。
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