もう一度、キミに逢えたら

平木明日香

あの日、あの時

第1話



 私は、かつての友人のことを思い出していた。


 その記憶はもうずいぶんと古く、少しずつ、当時の色や景色が薄れていきつつある。


 当時、私は高校生だった。


 中学の頃とは違う新しい生活に、新しい街。


 田舎育ちだった私にとって、東京の街は呆然としてしまうほど眩しかった。


 ”大都会“っていうのを、初めて肌に感じた。


 地元から近い広島市もそれなりに大きい街だとは思う。


 中四国だと多分1番だろうし、岡山とか山口とかに比べたら、そりゃあもう。



 だけど、東京は違った。



 まるで別世界だった。


 生まれて初めて、ビルが高いと思ったんだ。


 空に向かって聳え立つスカイツリーは、同じ日本だとは思えないほど遠く、高く伸びていた。


 空の一番端まで、届きそうなくらい大きかった。


 「うわあ」と、声が漏れてしまうくらい。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る