夢の月コメディ劇場短編集

夢月みつき

第1話【新】「ソウタVS小豆洗いのショキさん対決!」


 ここは秋田県のとある田舎町、今日は小学五年のソウタが近くの川に魚釣りに来ていた。

 

 ベースボールキャップに赤と白のボーダーTシャツと半ズボン、ビーチサンダルを履いている。



 ソウタは次々と魚を釣り上げて行く、バケツの中も大漁だ。

 しかし、雲が夏空を駆け始めた時、それまで好調だった釣りが急に魚が釣れなくなった。



「あれ? 魚が掛からなくなったな。もしかして、釣り過ぎた?」


 ソウタが、首をかしげているとどこからか、軽快な音がして来た。



 ショキショキ、ショキショキ、ショキショキ―――



 sabamisony様からのファンアート

①『ソウタと小豆洗いのショキさん』aiイラスト

https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818792438274907486


 sabamisony様からのファンアート

②『ソウタと小豆洗いのショキさん』aiイラスト

https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818792438275053958



 妙に楽しくなるリズムだ、何の音だろうと考えていたら、ソウタのお婆さんが小豆を研いでいる時に、そのような音をさせていたことに、気がついた。

 

 そういえば、ソウタは、お爺さんに「小豆洗い」という妖怪が川辺には現れると、聴いたことがあった。小豆洗いは小豆を研ぐだけの無害な妖怪とも聴いていた。



「妖怪かあ、なんだか楽しくなるような音だなあ。」


 ソウタがしばらく、音に耳を澄ませていると、そのうちこんな歌声が聴こえて来た。


『小豆研ごうか人取って食おか、ショキショキ』


「なっ、なんだ? 急に怖いことを歌って来たぞ!こんな時は、どうすればいいんだっけ…」



 ソウタはお爺さんから聴いていたことを試すことにした。

 ソウタはラップ調で返してみた。



「魚釣ろうか、小豆洗い釣ろうか!オーイエー!」

 

 ザワザワザワ…すると森の木々がざわめきだした。



『小豆洗い釣ろうか、お前ナニモノ?小豆洗い挑発』


 来たな!ソウタは身構えたが、軽快なリズムでビートを刻み続ける。



YOYOヨーヨー!お前のビート、ヘナチョコ、俺に勝てるか?ほら、来な!」


 ソウタは片手を突き出し、チョイチョイと招くような仕草をした。

 

 ショキショキ、ショショキ!


 小豆洗いの小豆の研ぐ音がさらに激しく、軽快な音楽を奏でる。



『お前、ナマイキ!おらの研ぎ世界一!お前におらを越えられるかYOヨ―!』



「越えられるに決まてっる! お前のでべそは、あずき色イエ~」


『なにぃ!?』


 

sabamisony様からのファンアート

③『ソウタと小豆洗いのショキさん』aiイラスト

https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818792438275212097




 ソウタと小豆洗いの激しいラップバトルは朝まで続き……

 その結果、二人には熱い友情が芽生えたという。



 あとで、ソウタがお爺さんに聞いたところ、「ソウタ、わしそんなこと言ってないよ。それ、滅茶苦茶で、絶対間違ってる!妖怪となにやってるの」と驚かれて笑われたという。

 

 結果オーライ、チェキラ☆彡



 sabamisony様からのファンアート

④『ソウタと小豆洗いのショキさん』aiイラスト

https://kakuyomu.jp/users/ca8000k/news/16818792438275304924



「小豆洗い」豆知識

 川辺で小豆を研ぐ音をさせる妖怪。

 地域ごとに様々な伝承があり、中には怖いことを伝える所も。



 「ソウタVS小豆洗いのショキさん対決!」おわり





 妖怪・妖精関連でほっこりした児童文学やファンタジーが読みたい方はこちらへ

『ちょっと不思議な妖怪✧妖精話短編集』

 https://kakuyomu.jp/works/16818093085863646180




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