第19話 戦いの後
□3人のグループチャット(夢乃間燈真)
天城 :夢乃間くん、今日はありがとね。助かったわ♡
夢乃間:僕は何もできてない気がするし、なんというか、あんなに急に固有スキルを使ってごめんね。その……
天城 :えっと、ちょっと驚いたけど……でも、そのおかげで勝てたわけだから、気にしないでね。
思い出すだけで恥ずかしい……。
嫌われてないよね?
拒否されたり、ゴミを見るような目で見下されたりしなかったのは良かったけど、みんなの前だったからなぁ……。
あの時は実は結構焦っていて、Sランクモンスターはヤバいと思ってつい固有スキルを使ってしまったんだよ。
鞘村 :どうしたの? 5層で何かあった?
えっ? 鞘村さん!?
大丈夫だったの?
一応、彼女を助けて回復させるときなんかも、その……抱き寄せる形になっていて、ある意味親密行動だよな~と思って"真実の愛"を発動していたのは内緒だ。
天城 :えりりん! 大丈夫なの?
鞘村 :大丈夫よ。あのまま捕らえられてたままだったらバロールの魔力で酷い状態になってたかもしれないけど、助けてもらったしね。それに燈真くんがしてくれた回復魔法とかの処置も的確だったんだろうって、保健室の先生から言われたよ。ありがとね、燈真くん♡
夢乃間:あっ、あぁ。なにもなくて良かった。
よかった、バレてない。
的確だったというより、"真実の愛"の効果だと思うよ。回復魔法の効果が高まったはずだから。
ただ、今はそろそろ限界だ……。
ずっと耐えて来た魔力放出のダメージでそろそろ意識がどっか行きそうだ。
あとちょっとで消灯時間だし……もういいかな?
鞘村 :それで? 5層でなにがあったの?
天城 :えっと、
鞘村 :それは聞いたわ。咲良と燈真くんが倒したんでしょ? すっごいよね。掲示板とかでもみんな驚いてたよ。
うん。この感じなら、あとは女の子2人で話してくれるよね。
僕なんかいなくても大丈夫そうだよね。
天城さんと鞘村さんってなんかちょっとあれだし。
ほら、百合の間に挟まる男なんて蹴られて当然でしょ?
ちょっとそろそろ限界だし、2人に『限界だ!』なんて言ってもし心配させたら申し訳ないし……。
天城 :え~と、それじゃあ何を?
鞘村 :私が聞きたいのは、なんで2人してちょっと改まった空気を作ってるのかについてよ?
天城 :えっと……。夢乃間くん?
鞘村 :反応がないわね……逃げたかな?
天城 :えぇ……夢乃間くん……
□えりりんからのボイスチャット(天城咲良)
絵里奈:で? なにがあったの? ねぇ? ねぇ?
咲良 :うーーーー
絵里奈:どうだった? ねぇ! どうだった?
咲良 :なっ、なにが? って、えりりん知ってるの!?
絵里奈:そりゃあねぇ。クラスの掲示板でもみんな大騒ぎだったよ?
咲良 :えぇ!? もーーーー。恥ずかしいよ~~~
絵里奈:でも、嫌じゃなかったんでしょ?
咲良 :それはそうだけど。夢乃間くんだって、私のためにしてくれたんだし……。
絵里奈:じゃあ、どうして?
咲良 :だって、はじめてだったんだもん……。
絵里奈:キス?
咲良 :そう。
絵里奈:まさかの初キスがダンジョン内でのキス?
咲良 :それは別にいいんだけど、みんなの前で……
絵里奈:いいのか? 咲良、真っ赤になってそうね。そうかそうか。でもなんで?
咲良 :2つ目の固有スキルなんだって。親愛行動でバフがかかるって。実際、かなり強力な効果だったわよ? 魔力は上がったし、攻撃力も防御力もスピードもかなり上がってたと思う。
絵里奈:それはヤバいわね……してくれるのは良くて、バフがかかるのも良いとして、頭が茹であがりそうよね。
咲良 :そう! それよ! それなのよ!
絵里奈:あらあら、とろけちゃったのね。
咲良 :だって、仕方ないじゃない! あんな……あんな……
絵里奈:嫌いになった?
咲良 :そんなことないよ。その……してくれたのは嬉しかったし……。
絵里奈:つんつんつんつんつんつんつん!!!!!!!
咲良 :もう!
絵里奈:あはははは。ごめんね
咲良 :えりりんだって、助けてもらった時、凄く幸せそうな顔してたでしょ!!?
絵里奈:それはだって、ねぇ。バロールの魔法にとらえられて、結構危ないと思ってたんだもん。そこに突入してくれて……抱きかかえて脱出してくれて。回復魔法もかけてくれてたし♡
咲良 :むぅ~
絵里奈:ごめんごめん。咲良の王子様を取ったりしないよ!
咲良 :ちょっ……
絵里奈:きっとね……あっ、そろそろ消灯よね。おやすみ~
咲良 :えりりん! ねぇ! ちょっと!!!
もぅ!
えりりんてば!?
燈真くんは私のものじゃないし、パーティー組んでくれて嬉しいし、勝つために嫌がることなく行動してくれたし、えりりんを助け出してくれたし、全部終わった後に抱きしめてくれたし……って、私なんで最後に抱きついちゃったんだろう?
それに夢乃間くん、どうしたんだろう。
あれ以降、チャットに既読ついてないし、私が送ったメッセージにも返信ないし。
嫌われてないよね?
引かれてないよね?
呆れられてたりしないよね?
あぁ~もう! 頭が熱い~~~!!?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます