第70話

僕は手紙を

ポケットにしまって立ちあがった。


加奈がこっちを

見て笑っている。



僕らはうさぎのように

目を真っ赤に染めて


それでも笑った。



「ねぇ、知ってる?!」


少し離れた場所から

加奈は少し声を

大きく張って言った。


「なにがぁ?!」


僕も同じだけ

大きな声を出して訊いた。



「あなたってね…!」


そう言いかけて、

加奈はケラケラと笑い始めた。


「なんだよ!言えよ!」



すると加奈は

笑いをこらえながら


大きく息を吸い込んだ。

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