第39話

このまま部屋で

じっとしていたら


どうにかなりそうだった。


僕はじいちゃんの

墓参りに行くことにした。


こないだ

入れたばかりの花は


もう影も形も

なくなっていた。


夢じゃなかったとしても

二年前。


もうあるはずがない。


やっぱり

来なければよかったと思った。


あまりにも

鮮明にアカネを

思い出してしまうのだ。


墓石に新たな

名前が刻まれていた。


ばあちゃんだ。


そうか、

ばあちゃんも死んだのか。


じいちゃんも、


ばあちゃんも、


そしてアカネも、


みんなあっちに

逝ってしまったのか。



ここにいると、


僕はたった一人

そこに置いて行かれたような

錯覚に陥った。

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