第十一章 時のない世界
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第1話
どれくらい眠っただろう。
アカネは僕の腕の中で
まだ眠っている。
露出した彼女の肌は
細い三日月に照らされて
青白く滑らかに見える。
昨日、
彼女は初めてここに来た。
一人暮らしを始めたと
言ったら
彼女は驚いた様子だった。
部屋に入り彼女は
一通り部屋を観察し、
そしてキスをした。
けれど、時折彼女は
不安そうな目をしていた。
僕は思った。
過去の僕達に
足りなかった事。
「なあ、アカネ。
相手が親や、
グリじゃなくて悪いんだけど…」
「ん?」
「…よかったら
俺と“約束”をしないか?」
「約束?何の約束?」
「ああ、約束。
なんでもいいんだ、
ずっと一緒にいようでも、
結婚しようでも」
「どうして今、するの?」
「アカネ、どうして人は
“約束”をするのか知ってる?」
彼女は不思議そうに
首をかしげた。
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