とある理容師の物語
春
第1話父の死
御臨終です。…凄く優しかった父が病に倒れ目の前で死んだ
思春期真っ只中の中1の5月だった
その日を境に私『春』の運命は変わっていった
中学生になったばかりでのこの出来事は良くも悪くも大きく人生を左右しただろう
父と母は20も歳の離れた夫婦だが三人の息子に恵まれた春はその三兄弟の次男だ
友達の親と比べると春の父はおじいちゃん?と間違われる程歳をとっていた
昔堅気の大工 酒を呑むと酒乱な所もあったが春は特別可愛がられたように思う
心にポッカリ穴が開くと言う意味が中1でわかった
病院から帰宅し通夜、葬式の準備が始まる
一番辛かったのは火葬場だった
死んでなお肉体は残る
しかし火葬が終わった後は父の面影は一切ない
実感がのしかかり現実に戻り涙が止まらなかった
天に行った父は春が理容師になると思っていただろうか?
今でも見守ってくれているのだろうか?
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