第55話

亜里沙と組めばいいや!と楽観的に、私が亜里沙の席のほうを振り向くと、亜里沙は隣の席の男の子と楽しそうに話している。



なんだか、嫌な予感がして、顔が引きつった。



私の視線に気づいたらしい亜里沙は、ごめーん、と反省しているのかどうか微妙な表情で、手を合わせて謝ってくる。



いつの間に、隣の席の男子とそこまで仲良くなってたの…。亜里沙、さすがすぎる。



――…待って、クラスの女子って偶数人しかいなかった気がする。


亜里沙が男の子とペアになったということは?



急いで回りを見回すと、やっぱり女の子は女の子同士でペアを作っていて。



まあ入学して1ヶ月ちょいで、男の子とペアを組むほど親密になるなんてなかなかないよね。ただし亜里沙を除く。




男子も、おおむねペアを作り終わっていて、先生にペアの報告をしに行っている。このクラスで、まだペアを作ってなさそうなのは…。




嫌な予感は、いままで何回も感じてきた。


この前の、紫穂先輩の陸への恋心とか。


さっきの、亜里沙の抜け駆けとか。




でも、いままでの嫌な予感とは比べ物にならないくらい、猛烈な悪寒が背中を駆けあがった。

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