第81話

嗚呼、もう自分の心を誤魔化せない。



この人は、私があなたのことを想っていることを知っているのでしょうか。



こんなこと言われたら、諦めきれない。



むしろ、のめり込んで、離れさせてくれない。



それは甘美な花の香りのように。



まとわりついて、離してくれない。





「ずるいよ、エース。」





ぽつり、呟いた。


ひらひら舞い落ちた、言の葉。



聞こえたのか。


聞こえなかったのか。



その呟きに、呉月くんは何も言ってはくれない。




それは、私の気持ちにもう気づいているという合図なのか。




分からないよ。



ただ、この胸の高鳴りが私の気持ちを示してる。好き、なんだ。

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