第79話

嫌いな訳、ないじゃん。



もし私が、エースのこと嫌いだったら。



エースのために、こんな矛盾に溢れた気持ちなんて、きっと存在しなかった。




こんなに、切なくなること、なかったと思う。





「橋本さん、」



「え?」



「ありがと。」




いきなりお礼を言われて、だけど何のことだか分からない。





「あの人たちに会わなくて済むように、俺のこと誘ってくれたんでしょ?」



「………、」



「橋本さんって、かなりいい人だよね。優しい。」





嗚呼、この人は。

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