第55話

「そう言えば橋本さん、昨日あの新しいカフェにいたでしょ。」



いきなり私の心をぐわんぐわん動揺させる質問が。




「俺、見たんだ。」



「え、…。」




私のこと、見たってことは。


彼女さんと、正体不明の大学生らしき人を見た可能性も、あるよね…?




「あ、うん。千織といた。」




表情に動揺の色が、出てしまったかもしれない。


これ以上、見せないように。




「窓、開けるね。」




ばっ、と振り向き、窓の近くに寄る。



かちゃり、鍵に手を掛け窓を開ける。




透明なガラスで隔たれていた、教室と外の空間が繋がって、交じっていく。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る