千織とそう言いながら、さっきまで彼らがいた窓際の席を見つめると。

その奥。

窓の外を歩く、１組の男女。

男の人が、引っ張るように歩いているから気づいた。

繋がっている２人の手。

その男女は、さっきまでその窓際の席に座っていた人たちで。

正体不明の大学生らしき人と、呉月くんの彼女さん。

「ねえ小町、今の見た…？」

「うん、見た…。」

「手、繋いでたよね？…、浮気？」

「うん……、でも本当に浮気、かな？」

浮気にしては、堂々とし過ぎている。

ここは、学校にも近いし、２人が付き合っているのは皆知っていること。

浮気、よりももっと真摯に付き合っているような。

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