第11話

そう言いきる呉月くんは、やっぱり和歌のセンスも抜群なんだと思う。分からないけど、エースに出来ないことなんて、きっとこの世に存在しないから。




やっぱり古文とか和歌とかってセンス必要だよね、うん、と自分自身で納得する。





なんだか、こうやって少しでも近づけると、呉月くんのことも知りたくなる。これ以上近づくと、あの鋭い色気に刺し殺されてしまう気がするけれど。



それでも近づきたい、と思わせる魅力がエースにはあって。




やっぱり我が儘、かな?


それでも。





「呉月くんの名前の由来は?志貴、って志高く、みたいな感じ?」



「橋本さんと同じような理由。」



「え?」



「俺、春生まれなんだけどさ。親が凄い気に入ってる、春の訪れを喜ぶ和歌があって。」





そう言われても、全く知識のない私にはいまいち分からない。





「ごめん、詳しく教えて。」





そう頼むと、呉月くんは「そんなに興味持たなくても。」と苦笑しながら、説明を始めてくれた。

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