第5話

「えぇー…、かなり多いじゃないですかー。」



「俺以外の誰かに手伝ってもらえば?俺以外、だかんな。」



「誰も先生が手伝ってくれるなんて思ってません。」



「おー。頑張れー。」




ひらひら、手を振って、黒に近いブラウンのクロックスを履いた適当教師は、ガラ、とドアを開けて教室を出ていく。




この学校は、自主性を重んじる校訓から、有名進学校のくせにかなり部活に力を入れている。



運動部ばかりではなくて、文化部に入っている人も多いし。




このクラスでも、部活に入っていないのは、ほんの一握りだけ。




誰かに手伝ってもらおう…!



期待を持って教卓から後ろに振り向くけど。




「おい、今日実践練習だし、一応レガース持ってく?」


「ポカリ買ってく?」


「電子辞書持った?」

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