深い光

少年と少女が出会うたびに

世界は一つ終わっている


レモン味の飴玉に

秘密を隠して語り合った

曇り空が雨に変わる前の影で

色々な仮面を捨てて

陥ってしまった

深い光


名前すら必要のない

体すら煩わしい

そんな刹那を見てしまったら

現実に戻りたいわけがない


雨が時間を注ぎ

晴れ間が未来を写し

不安になった二人は

初めて手をつないだ


少女と少女は少しずつ

過去へと衣を脱ぎ捨てる

少年でも少女でもない

誰かと誰かへと登記される

思い出も上書きされて

お互いを綺麗なものにしていく

ただ一つ確かに残るのは

つないだ手の絡まり方


少年と少女はいなくなる

打ち捨てられた世界は

深い光の中で

柔らかく正しい記憶をくるんでいる

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