闇の木馬が、火柱を登る

白鷺(楓賢)

プロローグ

### プロローグ


静寂を切り裂くような大地の揺れが、突如として街を襲った。誰もが、いつも通りの午後を過ごしていたその時、まるで地面が命を持ったかのように振動し、轟音と共に地割れが広がった。


次の瞬間、裂けた地面の隙間から、赤々と燃え盛る火柱が天を貫いた。燃え上がる炎は、激しく唸りを上げ、空をも焼き尽くさんばかりの勢いで吹き上がる。その光景に目を奪われた者たちは、足がすくんだまま、何もできずにただ立ち尽くしていた。


そして、その火柱の中から、異様な存在が姿を現した。それは、黒い木馬だった。木馬は炎に包まれながらも、確かに火柱を昇っていた。燃える馬、燃える大地、そして燃える空。それは、まるで世界が崩壊し始めたかのような予兆だった。


街中の至るところで同じ現象が繰り返され、火柱が次々と現れるたびに、木馬は現れ、天へと昇っていく。逃げ惑う人々の中で、誰もが恐怖に染まりながら、その光景を目の当たりにしていた。


これが終わりの始まりなのか、それとも別の何かが待っているのか、誰も答えを持っていなかった。

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