ベスト・バディーズ

@syuruto

プロローグ

この世の中は不平等だ。

この世の中なんて消えてしまえばいいんだ。


月明かりがさすビルの屋上で

くつろぎながらそんなことを考えていた。


昔から、

男は度胸。女は愛嬌。

男は仕事を。女は家事を。


この仕事は男の仕事だ。

女っぽい仕事はやめろ。


3年続けないと仕事はやめるな。

辞めるなら人を探せ。



なーんて、、、そんな決め事があるから

この世の中は不平等だ。



権力や地位。

誰かと比べられる毎日。


神様は偉いに決まってるだろう。

悪魔より天使の方が優しい。


陽キャや陰キャといわれるレッテル。

不良が更生しました~。偉い偉い。

じゃあ、最初から真面目なやつは

偉くないのか?って思うニュース番組。


なーんて、、、そんな決め事があるから

この世の中なんて消えてしまえばいいんだ。


そんなふうに思っている人間は

沢山いるだろう。

不満しかないこの世の中のどこがいいんだ。


経済は上手く回らず、

弱いものは強いものに押しつぶされる。

理不尽にも程があるだろう。


法律は弱い人を助けるもの?

いや、違うだろ。

強いやつが使う権力の一部じゃないか。


もがき、あがき、苦しむ。

食って、寝て、働いての繰り返しの人生。

そしてそのまま死を遂げる。


それをいい人生だったな。って

果たして心の底からそう思えるのだろうか。


こんな世の中を心から愛せるわけが無い。

なにかの拍子にこの世の中ががらりと変わる

転機が訪れればいいのだが、、、


おとぎ話やファンタジー世界でもあるまいし

そんな事が起こるはずもない。


もういっそのこと隕石が落ちるか、

大災害に見舞われるか、なんでもいいから

このまま破滅してくれても構わない。



そんなことを思っていたら、、、



まさか、、、



ほんとに、、、



そんなことが起きてしまうなんて、、、


それはまるで、

おとぎ話やファンタジー世界のように

不思議な事がこの日本に起きてしまった。



それはこの日本にとって

救済になるのか。

はたまた絶望へと誘われるのか。

それはまだ誰にも分からない

未知の出来事である。



星一つない藍色の夜空を俺はふと眺めた。

こんな状況でも月は当たり前にあるんだな。

そんなことを考えていた。


ビルを後にし、夜の街を歩き始めた。

雨がポツポツと、そして土砂降りに。


俺はただひたすらに土砂降りの夜の東京を

走り続けた。


必死に、無心で、

気づいたら追っ手に追われている。


追いつかれそうになりながらも、

袖を引っ張られようが、

相手が吹き飛ぶくらい反撃をして、

人目を避けながら雨で視界が見えない

暗がりを一心不乱に走り続けた。


今の俺の耳には音1つ聞こえない。


街灯がチラホラと。

明かりを頼りに。


何分間か走った頃だろうか、

追っ手の足音は聞こえなくなっていた。


走り疲れた足を懸命に前に押し出す。

ただひたすらに。


土砂降りに打たれながらも。

水溜まりに足を取られながらも。


そうしてるうちに、

ふと一筋の強い光が目の前を照らした。


俺は安心と懐かしさで

その光に吸い込まれていった。


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