1つのコメントから人気vtuberになるまで
sayo
第1話
自分がvtuberにハマったのは3年前、高校2年生になった時だった。
当時、好きだったゲームのストリーマー大会に参加していたvtuberに興味を持ち配信を見始めた。いつしか配信を見ることが生活の一部になり、自分もvtuberになってみたいと考えるようになった。
「今日はここまで、おつロウー」
誰も見ていない配信で、終わりの挨拶をしながら配信の主である〈スロウ〉こと森園(もりぞの)士狼(しろう)はため息をついた。
「はぁ、誰も見てくれないなぁ」
2年前、推しのvtuberに憧れて勢いでvtuberになってみたがこの現状である。
今の時代、vtuberなんてたくさんいるし配信者なんてもっといる。何か人より優れたものをもっていたり、キッカケを運良くつかんだ人でないと埋もれて行ってしまう。
こんな生産性のない配信をしてても意味がないとわかりつつ憧れを捨てきれず2年間なんやかんや続けてきた。
「そろそろやめどきかなー」
そうぼやきながらSNSを見ていると、ある大会の告知が目に入った。
〈vtuber限定サイクロカップ開催!〉
サイクロとは、上手いゲーマーを集めたvtuber事務所【サイバークラウド】の略である。最近勢いのある箱で俺もちょくちょくサイクロ所属のvtuberを見に行ったりしている。
そんな、サイクロが開催する大会とあって興味を持った俺は詳細を見てみるが、
「完全招待制かー」
どうやら3人チームのリーダーとなる人が他のメンバーを誘う形式みたいだ。
底辺vtuberである自分に招待なんてくるはずはなく、興味を無くした俺は推しの配信を見ながら眠りについた。
翌日大学から帰った俺は、いつも通り配信をつけた。
「こんロウー、今日もレジェンドサバイバルやっていきます」
《レジェンドサバイバル》とは3人1組の20チームを生き抜くバトルロワイヤル形式のfpsゲームである。
様々なキャラクターと多種多様な武器が魅力で多くの人に遊ばれている。
そんなレジェンドサバイバルをしばらくプレイしていた。
「負けたーーナイストライだー、味方さん強かったけど俺がミスったマイバット!」
負けた悔しさを感じながら配信のコメントを見てみると、
「おっ、久しぶりにコメントきてる!えーと…」
この何気なく読んだコメントが森園士狼のvtuber人生を一変させることとなる。
『私と一緒に大会に出てくれませんか?』
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