再会の瞬き

第1話 再会の街角

夕暮れの街角、悠真はいつものように会社帰りの道を歩いていた。普通の一日、普通の仕事、そして普通の帰宅。特に何の変哲もない日常だ。だが、その日だけは違った。

ふと、前方から歩いてくる一人の女性に目が留まった。流れるような黒髪、背筋が伸びたスタイル。そして、どこか見覚えのある顔立ち。

「…美咲？」

思わず口をついて出た名前。彼女もその声に反応し、立ち止まって悠真の方を振り返る。

「え…？ 悠真、なの？」

まさかの再会。目の前に立っていたのは、かつての幼馴染み、篠崎美咲だった。学年一の美少女として憧れの的だった彼女が、数年ぶりに悠真の前に現れた。

「久しぶり…だよね？」

美咲の表情には驚きと懐かしさが入り混じっていた。悠真は動揺しつつも、なんとか言葉を絞り出す。

「うん、本当に久しぶりだ。…高校以来だよね。」

二人は自然と立ち話を始めた。通り過ぎる人々の波に飲み込まれながら、周囲の喧騒が少しずつ遠のいていくように感じる。

「こんなところで会うなんて、偶然だね。最近どうしてるの？」

美咲は優しい笑みを浮かべ、相変わらずの柔らかい雰囲気を醸し出している。だが、彼女の姿はどこか一段と洗練され、大人びて見えた。

「まあ、普通にサラリーマンやってるよ。毎日会社行って帰って…って感じ。」

悠真は苦笑いしながら答えた。自分の平凡な生活が、美咲の華やかな世界とはあまりに対照的に思えて、少し恥ずかしさを感じていた。

「そっか。でも、元気そうで良かった。私は今、モデルの仕事をしてるんだ。」

「やっぱり、そうなんだ。なんとなくテレビで見たことある気がしてたけど、まさか本当にそうだったとは。」

悠真は驚きつつも、やはり彼女は特別な存在なんだと改めて実感した。美咲は自分が手の届かない場所にいるような気がして、少し距離感を感じてしまう。

「ねぇ、ちょっと時間ある？ 久しぶりにゆっくり話さない？」

美咲の提案に、悠真は戸惑いながらも頷いた。

「もちろん、せっかくだし。」

こうして二人は近くのカフェに入った。