クリームシチュー in 豚汁
不労つぴ
豚汁+シチュー
さて、突然ですが皆さんはクリームシチューの作り方と聞いて、どのようなレシピを想像するでしょうか。
一般的には鶏肉や玉ねぎや人参を鍋で炒め、牛乳で煮込んだものを想像する方が多いと思います。
僕もその認識で今まで生きてきました。
ですが、祖母は違いました。
祖母はシチューとはかけ離れた何かをシチューだと言い張り、それを僕たちに食べさせていたのです。
あれは、僕が中学2年生の1学期あたりだったと思います。
諸事情あり、僕たち家族は祖父母の家に居候のような形で一緒に住んでいました。
一緒に住み始めてからというもの料理は、母と祖母が担当していたのですが、母の仕事の都合もあり、祖母が作ることが多かったような気がします。
祖母は料理がとても上手いのですが、一つだけ欠点というか孫の僕からしても変えて欲しい点がありました。
それは自作のアレンジ料理を作り出し、それを自信満々に食卓に出すことです。
美味しければ良いのですが、2/3の確率で、思わず顔をしかめるような料理が出てきます。
料理を作ってもらっている分際で文句を言うのも烏滸がましいのですが、孫としては普通に作って欲しかったです。
その上、当時の祖母は、某子供向け忍者アニメの食堂のおばちゃんのようにお残し厳禁主義でした。
そのため、僕や弟が残すと叱りつけてくるので、不味くてもできるだけ完食するようにしていました。
ですが幼少期から特殊な訓練を受けてきた僕と弟は、祖母によって好き嫌いがほぼない状態に育て上げられたので、自作アレンジも完食すること自体は容易かったのです。
しかし、そんな僕と弟でも完食が不可能もしくは、かなり厳しかったものが2つあります。
今回は僕が思う、おぞましいアレンジ料理ランキング2位「豚汁シチュー」を紹介します。
豚汁シチューの作り方ですが、まず豚汁を作ります。
祖母が作る豚汁は、こんにゃくと里芋、人参、大根と豚肉が入っていました。
これだけなら普通に美味しいですし、僕も祖母の作る豚汁は今でも大好きです。
ですが、問題はこの後です。
祖母はこの完成された豚汁にクリームシチューのルウを入れ、牛乳で煮込みます。
何故そんなことをするのか僕には全く理解できませんが、祖母はこれをシチューだと言い張っていました。
名付けて豚汁シチュー、その味はなんとも形容しがたい味ですが、食べれなくはなかったです。
甘いような味噌のような風味のような牛乳のような。
例えるなら、甘くてドロドロした味噌汁みたいな感じでしょうか。
僕はいつも豚汁とシチューは普通に別々で食べたいなと思っていました。
これだけも今思い出すと鳥肌が立つのですが、さらに豚汁シチューは進化します。
豚汁シチュー後期生産タイプは、具材にパセリを大量に投入していました。
刻みパセリではなく、そのままのパセリ丸々数本を鍋に投入して煮込むのです。
祖父母は畑をいくつか持っており、そこで取れたパセリを僕たちに食べさせたかったのでしょう。
それに祖母はパセリを飾り付けの野菜ではなく、普通に丸々食べるものだと思いこんでいたようです。
刻みパセリでもない、そのままのパセリがシチューの入った器の1/3を占めていました。
僕は昔から生のパセリを丸々一本茹でたものを食べさせられていたのですが、かなり苦手でした。
僕はそれもあってパセリが苦手なのと、豚汁シチューの破壊力も相まって、完食することが困難だったのです。
祖母は残した僕に小言を言いましたが、怒り心頭の僕は「こんなのはシチューでも豚汁でもない!せめてどっちかに統一してくれ」と抗議しました。
そして、僕の抗議の甲斐もあってか、食卓に豚汁シチューが並ぶことはなくなりました。
しばらくして、僕と母と弟は別で暮らし始めたので、祖母の料理を食べる機会も減りました。
今でも思いだすと懐かしくなるのですが、出来ればもう二度と食べたくはないです。
みなさんも一度試してみてはいかがでしょうか。
クリームシチュー in 豚汁 不労つぴ @huroutsupi666
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
免許取ってる最中に事故った話/不労つぴ
★0 エッセイ・ノンフィクション 連載中 1話
関連小説
僕ってこんな人です/不労つぴ
★18 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます