第20話

「今日はお日柄もよく、最高の1日ですな」



晴天の下。


青々とした緑の芝の上。



白いテーブルクロスで飾られたたくさんのテーブルが、芝の上を陣取って、その上には美味しそうな食材が次々に運び込まれている。



そして目の前に、三角屋根の白い教会。



てっぺんには、大きな金色の鐘がぶら下がっている。



ドイツの5月は「mai」と書いて「マイ」と読むらしい。



1年の中で最も綺麗な時期。



陽だまりの中で遊ぶ、木々の音色がさやさやと心地よい。



その温かな日差しの中、来賓の方々と楽しそうに談話している、王子のおじい様の姿。



その隣にいるのは、外国の人だ。



お風呂場で遭遇したあのおじい様は、前と変わらず白いひげを携えて笑っている。



「本当ニ、トテモイイ日デスネ」



隣に立っていた外国の方も、片言の日本語で喋った。



なんと、エミリーとピエはドイツ・イギリス・日本…と、3ヵ所で式を挙げるらしい。




「………」




規模の違う結婚式に、あたしは声が出ない。

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