SF♥1

Going my way、再び。

第1話

タッタカタ―ッ



毎年決まって遅刻する。


春眠暁を覚えず、なこの季節。



「や、ヤバい…!また遅刻…っ」



このセリフも、この状況も、今年で3度目の超常連。



「……セ~~~~~フッ!」



あたしはぎりぎりセーフで両手を広げ、キキーッとブレーキをかけるようにして、教室に入った。



「思いっきりアウト」


「!」



入った瞬間、真顔の先生が教卓からそう言う。



「…う゛」



あたしは顔を歪めながら、小さく唸る。


すると、先生は笑う。


ニコリと笑う。



「………ι」



その笑顔が怖くて、あたしはひきつり笑顔で対応する。



すぅ、と息を吸うのを見た瞬間、あたしはギュッと体を縮ませた。



「………こんの馬鹿もの~~~~!!!廊下に立っとけぇぇぇぇ!!!」




毎年恒例、4月最初に大寝坊。


はねた髪型、乱れた制服。


飛び起きて10分でこの場にいることに、もっと敬意を払ってほしい。



が、しかし。



「あたしは○び太か~~~!!(←ちょっと涙目)」

…と、大声で叫ぶことも出来ず、言われた通りに廊下に直行。




「……ご愁傷様」


「!」



すかした声で、廊下側の窓を開けて言うのはクソ王子。



丸2年、同居した仲だというのに、この態度!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る