第36話

「ごめん、よく分からない…」



あたしは王子を見て、そう呟く。



それだけじゃ、全然分からない。



ただあたしには、王子の家族とも仲のいい存在っていうのが分かっただけで、昔からの知り合いで「許嫁」でも有り得るような想像が働き始めている。




聞きたくないけど、知っておきたい。



真実を。



変わることない真実ならば。




あたしは王子を見上げた。



王子もあたしの視線の意味に気がついたのか、ゆっくりと口を開く。



髪の毛をくしゃっと触り、癖ともいえるため息を漏らし、口を開いた。




「…幼馴染なんだよ」



その答えに、あたしは呆気に取られる。



「おさななじみ…?」



「といっても年に何回かしか会わない幼馴染だけど。ガキの頃から一緒に写真とか写ってるし」




ズキン



写真という言葉にあたしは胸が痛んだ。



やっぱり。



あの写真は蜜ちゃんなんだ─…

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