第3話 お互いの過去と葛藤

美咲と翔の距離は確実に縮まっていたが、翔には一つ、どうしても話せないことがあった。ある夜、二人は静かなレストランで食事をしていた。


「佐藤さん、前に話してた恋人のこと…どうして別れたんですか?」美咲が少し慎重に尋ねる。


翔はしばらく黙り込んだ後、ゆっくりと口を開いた。「あの時、俺は仕事に夢中になりすぎて、彼女のことを後回しにしてしまったんだ。彼女はいつも『もっと一緒にいてほしい』って言ってた。でも、俺はそれができなかった。」


美咲は頷き、「仕事が大事ですもんね。でも、それで後悔してるんですか?」


「後悔…してるよ。だから、また同じことを繰り返すのが怖いんだ。」翔はその言葉に重みを感じさせた。


「佐藤さん、私も仕事に一生懸命なタイプだけど、恋愛だって大事にしたい。だから、もしまた同じことになっても、私は一緒に頑張れると思います。」


翔は美咲の真剣な表情を見て、彼女の言葉に救われる気がしたが、同時にその期待に応えられるかどうか不安だった。

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