エリカ
雛菊シアン
第1話 出会い
「
そういって走って帰ってきた父。
小さいころ母親を病気で亡くしてから15年、男手一つで育ててくれた父のこんなにうれしそうな顔は久しぶりに見た。
「おーおめでとう。相手は前あった人?」
「あぁ。この前紹介した美愛さんだ。山の上のほうにある神社があるだろ。来週からそっちに引っ越すことになった。それにあたってお前に妹ができることになった。よろしく頼む」
美愛さんってたしか神社の巫女さんだったよな。それに妹ができるのか...妹ができるのか!?
「再婚が決まったのはめでたいけど妹って聞いてないぞ!どんな子なんだよ」
「まあ言ってないからな。お前の一個下の16歳の子だ。今から来るから実際にあってみたほうがはやいだろ」
「は?今から来る?」
「あぁ今から来る」
この父親は何を言ってるんだ。そんな急に言われてもこまr...
ピンポーン
来てしまった
「はーい。今開けますねー」
父は茫然としている俺を気にする様子もなく玄関にかけていった。
もうここまで来たら会ってみるしかなさそうだ。
「一週間ぶりね。お父さんと結婚することになった美愛です。よろしくお願いしますね奏くん。」
とてもしっかりとした女性が俺に向けて挨拶をする。この前美愛さんの家に行ったときは巫女服だったが今日は周りの人と何ら変わらない服に身を包んでいた。
「お久しぶりです美愛さん。これからよろしくお願いします。」
緊張しながらもなんとか挨拶を済ませる。
「そしてこっちが私の娘で今日から奏くんの妹になる絵梨花よ。」
「こんにちは。私は絵梨花。よろしく」
地面を見て絵梨花ちゃんは挨拶をした。
とっても静かな冷たい子が来てしまった。俺はこれから兄としてこの子と仲良くできるのかな。すっごい不安になってきた。
「初めまして絵梨花ちゃん。俺は奏。これから兄妹になるから仲良くできたらうれしいな」
「...」
頑張って歩み寄ってみたのに無視された。つらい。
「絵梨花はとってもおとなしい子だから奏くんからいろいろ話しかけて仲良くなってほしいわ。よろしくね」
絵梨花はやっぱり下を向いたままだった。
「立ち話もなんだし上がりなよ。玄関は暑いし」
父の一言でリビングに行くことになった。
それからしばらくはこれからの生活の話をしていた。俺たちが今住んでいるこの家から引っ越して美愛さんの家の神社で生活すること。父は仕事で夜の間は帰ってこないこと。それとは別で美愛さんと絵梨花も諸事情で夜の間はいないこと。そんな話をし
て一日は終わっていった。
「今日はありがとね。もう私たち家族なんだね。これからよろしくね」
美愛さん、少し慣れて話し方が柔らかくなった気がする。やっぱり大人とはいえ緊張していたのかななんて思った。
結局絵梨花ちゃんとは一言も話せなかったし目を合わせることはできなかった。でも来週からは一緒に住むことになるしどうにかして仲良くなれるように頑張りたい。
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