第4話 三島由紀夫『新聞紙』

 祐里姉に伊藤左千夫の『野菊の墓』をスッと出され、読んでは見るものの、根っからのNLダメ野郎で途中でギブアップしてしまった。ハラキリの方が自分に合うと実感w


 まあせっかく買ったし、他の短編も……ということで、『新聞紙』を読みました。


 あれ? 面白いぞwww


 主人公の女がとある経験からその時のビジョンが頭に焼きついて離れなくなる話。そこから妄想が始まります。


 何が面白いと私が感じだか。


 まず、三島由紀夫の映像化の筆力がすごい。いや、憂国だってすごかろうに。いや、わかるけども、あちらは若干予備知識がいる。こちらは、街の桜並木があれば結構。主人公が目にする物が簡単に頭に思い浮かぶ。


 だからこその主人公に焼きついたビジョン。まず納得のインパクト。こういう着眼点ほしい。


 そして、妄想に駆られていくのだが、それが面白い。


 どう面白いかというと、私の場合「こういう妄想に取り憑かれている人っていっぱいいる」という点で。主人公を変な奴だなと思えば思うほど、ブーメランになって返ってくる。


 自分の鬱屈を何かに投影する。まるでその張本人かのようにあたる。全く理論的でないが、いざ日常、いざ自分のこととなるとわからなくなる。


 短い話ですが、そういうのをそう書くんだ……と思いました。


 描写の美しさも大切ですが、やはり洞察、切り口、組み立ての巧妙さあっての作家なんだなと思いました(今更)

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