Sliver Moonlight~白銀の月夜に悪魔は微笑む~

八十浦カイリ

プロローグ

すっかり暗くなった歩道を、少女は走る、走る、走るーーーー

痛みに悲鳴を上げ始める足を懸命に動かす。全身の血が沸騰でもしそうなほどの、どうしようもないような緊張感。

「っ、……行き止まり……!」

交差点にぶつかった彼女は、信号が赤になっているのを確認し、足を止める。

そしてそのまま、その場にへたりこんで彼女は立ち止まってしまった。

「ここまでは、ここまでは流石に追ってきてないはず……!」

そうであってほしい、という希望を口にしながら、彼女はゆっくりと自分の背後へと、視線を映した。


そこには。


赤く光る眼をした悪魔が、そちらを見て『嗤っていた』。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る