かつての日々に、学校図書館でバーネットの小説にときめかれた方はいらっしゃいませんでしょうか?
庭園は、作る人・見る人のさまざまな想いや人生が映し出されたひとつの世界。
いくつものそれらを舞台にして紡がれるこの物語は、庭園を資料上のものとしてではなく生きたものとして知っていらっしゃるのだろう作者さまの手によって、とても読みやすくありつつもしっかりした裏地に支えられた奥行き感を持って、印象に残ります。
窓辺で、寒い日や雨の日にコーヒー(orポットティー)を置いて。あるいは人で詰まった電車の中で空と土を思い浮かべながら。
ひとときを過ごされる読み物として、おすすめいたします。
(シシングハーストも美しいですね)
舞台は、女王が統べる国・エルウィン。
17歳の少女サラは、庭師になるため田舎から出てきた。
ところが紹介状をなくしてしまい、路頭に迷った彼女は訳ありの求人に飛びつく。
その屋敷の主は、美しくも破天荒と噂の女男爵《バロネス》・アイリだった――。
難題の採用試験を突破したサラはアイリに連れられてさまざまな庭園を訪れるが、行く先々でなぜか事件が起こり…!?
有能で美しくいつも自信たっぷりなアイリと、植物の知識だけは誰にも負けない天真爛漫なサラ。
軽快な掛け合いはとても楽しく、そして尊く……おやおや、あらあらとにこにこしてしまいます。
協力して見事に事件を解決するたび、固い絆で結ばれていく二人。
でも、やがてサラがアイリの孤独に気づいたとき――
この先はぜひご自身で読んでみてください!
特に四章のラスト、衝撃の展開は必見です。
丁寧につくられた英国風の世界観と、植物を絡めた本格的な謎解き。
するする読めるのに抜群の読み応えがあり、年末年始の読書にもぴったりです。
物語はいよいよクライマックスへ。
追いつくなら今です!