わかるかな?
天川裕司
わかるかな?
タイトル:わかるかな?
「マスター、いつものコーヒーお願ーい」
俺は最寄りの喫茶店『ヴァルス』に来た。
ここは俺が高校の時から開業していて、
大人になった今でもずっと通い続けてる。
「やぁいらっしゃい♪いつもので良いね」
「ええ♪」
気心知れたマスターとの時間はとても楽しい。
まず水を持ってきてくれたマスター。
「お冷やをどうぞ♪」
タン、タンと2つ水の入ったコップを持ってきて、
俺の前と、相席側のテーブルに置く。
「…ちょっとマスター、これなに?」
「ご飯は食べていかないのかい?おいしいピラフあるよ?」
「いやマスター、俺1人で来てるんだけど」
オーソドックスなボケでもしてるのかと、
俺は笑いながらそう言った。
「はは♪怖いもの好きの君だから、ちょっとそれらしく振る舞ってみたよ」
「なぁんだよ〜」
マスターは俺がYouTubeで、
ホラーシナリオをアップしてる事を知っている。
それに合わせておどけたらしく、
すぐに水を1つ下げて、ピラフまで作ってくれた。
それからしばらく談笑していた。
していると、
「お疲れ様でーす」
ここの女子店員が入ってきた。
結構可愛い子。パートに雇ったんだ。
「(へぇ。こんなかわいい子がいるんなら、またここに来るのが楽しみになるなぁ)」
なんて思いながらそろそろ帰ろうと思い、
「また来ます」と席を立った。
マスターもあとからついてきて、
「また来てね、いつでも待ってるよ♪」
「今日ちょっと用事があって店を閉めるから」
と俺が出たのと同時に店を閉めた。
翌日の新聞で、
「『ヴァルス』で婦女暴行…」の見出しが。
でもその事件が起きたのは1週間前。
俺は色々と考え、心を整理した。
膨大な恐怖といくつかの疑問が残ったあと、
ふと口を突いて出たのは、
「…あのマスター、冗談好きながら、罪の意識に苛まれ易いところあったからなぁ…」
動画はこちら(^^♪
https://www.youtube.com/watch?v=QNzZ_lycAgA
わかるかな? 天川裕司 @tenkawayuji
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます