第4話

私は、常に周囲の顔色を伺うようになった。

特に父や義姉の顔色を。


暴力を振るわれない為には自分はどうしたらいいのか━━常にそのことばかり考えて育った。


おかげで今では、父や義姉に付け入られる隙がないと思う。


常に状況を観察して率先して動いているから。

 使用人としては、申し分ないと自負している。


それでもすれ違いざまに、わざとつき飛ばされたり、階段から突き落とされたり、理不尽な嫌がらせは続いていた。


そうして6年の月日が流れ、私は16になった。


この国では18歳になると成人として認められる。


家同士で取り決めた婚約者のいない者達は、16歳頃から頻繁に夜会に出席する。

いわば婚活適齢期だ。


結婚適齢期は18から20くらいと言われており、23過ぎてしまうといきおくれ扱いされ、世間の目が厳しくなる。


男性はともかく、女性の場合は、お相手が再婚だったり、既に正妻がいたり…。


例え問題のあるお相手だったとしても、娘を嫁がせようと躍起になる親に逆らえず、

しぶしぶ受け入れざるをえないのが貴族社会の現状だった。


まぁでも…私には関係のない話だ。

私は一生このまま奴隷のように働かされるのだろう。


何度も逃げようと試みたけれど、

いつも捕まり、

激しい暴力を振るわれた


遂には逃げられないように扉の外側に鍵を取り付けられた。


私の部屋は地下なので、窓もない。それでもジャックが協力してくれて脱出しようと試みたのだけど、捕まってしまった


その時は私だけではなくジャックも鞭打ちにされてしまった


それからすぐにジャックは姿を消した


ごめんなさい。ジャック私のせいでごめんなさい

どうか生きていますように…


ジャックが何も言わずにいなくなるとは考えられない


心配でどうにかなりそうだった



使用人の人達にも尋ねてみたけれど、皆口を揃えて「知らない」と返答する。


もしかしたら、口止めされているのではないか、と勘ぐってしまったこともあり、知ることが怖くなった


ただの言い訳になるけれど、最悪の事態を想像して、それ以上聞く勇気がでなかったのだ



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