第52話 とある少女は魔王と呼ばれる
会場を後にし、レイと雫はダンジョン協会の車に乗り込んで宿泊先へと帰った。
「なんか精神的に疲れた〜!」
「お疲れ様レイ」
レイはソファーに飛び込み顔を埋めた。
「そういえばレイ、またトレンド入りしてる」
雫のスマートフォンに映し出されていたのは、トレンド一位にrei、トレンド二位に瞬殺が入っていた。
「ふーん。情報早くない? 記者会見を見てた人いたんだ」
「ダンジョン協会の公式サイトで生中継されてたみたい」
「私も何か呟いたほうがいいかねぇ」
「レイに任せる。もし何か投稿するなら私も一緒に内容を考える」
「じゃあ何か投稿しますかね」
「いや、いっその事レイのチャンネルで生配信すれば? ここでコメント質問に答えておくと今後質問されても基本無視できる」
「確かに! じゃあやるかぁ」
そうして1時間ほど休憩をした後にレイは配信を始める為にスマートフォンをライブモードにする。
今回は声だけの配信にするつもりだったので、レイはいつもの服に着替えずにいた。
そして配信が始まると、視聴者数はすでに4万人を超えていた。
「雫ちゃん配信始まった?」
「うん、始まってる。視聴者はもう4万人以上いる」
「はぇーみんな暇なんだねぇ」
「それでレイ、今回配信した理由言わないと」
「あっそうだった。今から質問コーナーします。
それで今回の配信以降次の質問コーナーまでに来た質問などは全部答えないつもりなので悪しからず。じゃあ質問募集スタート!」
そうしてレイのチャンネル初めてのダンジョン以外からの配信が始まった。
『今雫ちゃんと2人ですか?』
「うん、私と雫ちゃんはこの遠征は一緒に住んでるよ」
『どうすれば強くなれますか?』
「頑張って基礎の戦闘能力を高めつつレベルを上げてステータスを伸ばす事かな」
『魔法と剣だったらどちらの方が得意ですか?』
「強いて言うならギリギリ剣かな。結局は剣を使いながら魔法撃つからどっちも使うんだよね」
『あの魔物を貫いた氷の魔法は本当にreiさんの魔法なんですか?』
「そうだよ」
レイがこの質問に答えるともう一つの質問が目に入った。
『あの記者会見の説明からいくと、それは人間にも発動できると言う事ですか?』
「うーん……まあ出来るよ」
レイのこの発言により、コメント欄が一瞬静寂に包まれた。
しかしすぐにコメント欄は動き始める。
『ならば国が危険視してreiさんを捕まえて拘束することもあると言う事ですか?』
「捕まえにくるかもしれないけどその場合、面倒だからこの世界全部凍らせちゃうかもね。まあもう十分質問にも答えたしそろそろいいかな? じゃあこれで配信を終わりま〜す」
そうしてレイの初配信は幕を閉じた。
その後最後の発言、レイは半分冗談のつもりで言ったが視聴者達はreiが本当にあの魔法を放ったなら不可能ではないと結論づけられ、レイはその後あだ名が付けられ、世界全体への抑止力を有する存在【魔王】と呼ばれるようになったのだった。
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