第51話 とある少女は記者会見をする

 レイはフラッシュを浴びながら歩き、マイクのある席に座った。


「これより札幌ダンジョンの異常事態についての記者会見を行います。

 今回の騒動を解決したダンジョン配信者のreiさんにお越しいただきました。

 この記者会見ですが、記者の方々からの質問に返答が可能なものに限りreiさんにご回答いただく方式で進行いたします。

 それでは質問のある方はいらっしゃいますでしょうか」


 司会の人がそういうと我先にと一斉に手を上げた。

 司会の人は1人を選びその記者にマイクを手渡した。


「ダンジョン新聞の佐藤です。

 この度は騒動を解決されたとのことですが、一体どのようにして解決したのか、そして原因は何だったのかをご回答いただけますでしょうか」


「今回の騒動は札幌ダンジョン最終階層の70層にいたボスの魔物が突然変異したものであると考えています。

 その魔物は自身で魔物を召喚し任意の場所に転移させるという能力を持っていたので、魔物を全て倒してから召喚した張本人を消滅させました」


レイがそう答えると会場がどよめいた。


「ダンジョンの最終階層と言いましたか?reiさんはダンジョンを完全攻略したと捉えてもよろしいのでしょうか」


「まあ、そうですね」


 レイの返答に会場は再びどよめきすごい量のシャッター音が鳴り響いていた。


「それでは次に質問がある方」

  

 そうしてレイの一問一答が始まった。


『reiさんのご年齢はいくつなのでしょうか』


「秘密です」


『戦闘スタイルはどのようなものなのでしょうか』


「メインに剣と補助的な役割で魔法を使います」


『reiさんは以前、雫さんとのコラボ配信にてヤラセを疑われたとのことですが、そのことについてはどう思いますか』


「別に、勝手に言っといてくれって思ってます」



 レイは今回とはあまり関係の無い質問に少しうんざりしていた。


「前回ヤラセ疑惑が出ましたが、今回の騒動解決も本当にreiさんが解決したのでしょうか。

 それならば証拠の提示は可能でしょうか」


 レイはニヤニヤとした記者を見る。


「証拠……? 証拠は無いですね」


「でしたら、今回も貴方が解決された証拠はどこにも無いわけですね?

 どうして録画用ドローンを起動していなかったのですか?」


「壊れるからです」


「はい?」


「私の魔法で壊れるからです。録画ドローンを起動しても私が戦闘をすると簡単に壊れます。

 いつもは出力を抑えているため壊れませんが、今回は魔物の数が異常だったのであまり手加減ができそうになかったのでドローンは起動しませんでした」


「ならばこの魔導ボイスレコーダーも破壊できるということですか?

 できるものならやってみてください」


 そう言われレイはピンポイントにボイスレコーダーの魔石に魔力を干渉させる。

 するとボイスレコーダーはバシュッ!という音と共に煙を吹き始めた。


「これでいいですか?」


「はっはい…… ありがとうございました」


 そして最後に質問できる人に選ばれた記者が切羽詰まったように質問をした。


「とっということは、あのライブカメラに写った魔物が一瞬で全滅したのもreiさんの魔法でしょうか!」


「はい、そうですよ」


 レイがそういうと記者達はシャッターを切り会場からは今日1番のどよめきがあがった。


「あれはどういう魔法なのか、発動方法などを教えてもらうことは可能でしょうか……?」


「言っても理解できないと思いますが、魔物の体内の魔力を乗っ取って自分の魔法を発動しただけです」


 その瞬間会場は静まり返った。


 レイは質問に答えたので記者達を横目に会場を後にしたのだった。








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